最初に戻る / 1.戸建て住宅用コジェネレーション/ 2.木質バイオマスを用いたコジェネレーション技術 / 3.固体高分子膜形燃料電池の運用計画/4.葉の光合成と最適形態のシミュレーション /5.バイオエタノールを用いたソーラー改質装置の開発 /6.燃料電池自動車の効率改善 /7.マイクログリッド技術 /8.ふく射伝熱解析(モンテカルロ法) /9.ふく射伝熱解析(一方向精密鋳造) /10.固体高分子膜形燃料電池の可逆反応を用いた負荷平準化技術 /11.燃料電池コジェネレーションの動特性 /12.木質バイオマスエンジンおよび燃料電池ハイブリッドシステムの動特性 /13.木質バイオマスエンジン(スターリングサイクル)の基本特性 /14.水素混合ガスエンジンとPEM-FC複合発電により,CO2排出量を低減するマイクログリッドの構築 /15.都市ガス改質を伴う住宅用燃料電池のエクセルギー解析と地域特性の考察 /16.排熱改質を伴うPEM−FC・木質バイオマス・スターリングサイクル複合システムのエクセルギー制御 /17.分散配置した小型エンジンコジェネレーションの出力配分を制御する自立マイクログリッドのエネルギーコスト /18.飛行船制御

 

はじめに

マイクログリッドなどの分散エネルギーシステムは,地域性を考慮したシステムの導入が可能であると言われています。しかしながら,分散エネルギーシステムの「地域性」について詳細に調査した例は,あまり見あたりませんでした。そこで本研究では,3kWの固体高分子膜形燃料電池のエクセルギーフローとエクセルギー効率を調査して,分散エネルギーシステムの地域特性を調査しました。この結果,提案システムの電力負荷率範囲4%から100%で,環境温度範囲-10℃から40℃(263Kから313K)でのエネルギー総合効率の差は最大6%であることが明らかになりました。一方,同範囲のエクセルギー総合効率の差は30%でした。さらに,システムのエクセルギー効率を改善する方法について検討し,排熱を用いた熱源温度の増加などを提案しています。提案システムを,札幌,東京,鹿児島の戸建て住宅に導入する場合の,エクセルギー効率を評価した結果,外気温の低い地域にシステムを導入すると,外気温の高い地域に比べてエクセルギー効率は上昇することを確認しました。

地域特性

分散エネルギーシステムの地域への導入では,大規模な発電所とは異なり,地域性を考慮したシステムの設備設計と運用が可能になります。一方,エネルギーシステムのエクセルギーフローとエクセルギー効率を調査すると,出力するエネルギーの「資源性」とエクセルギー損失の大きい機器を検討することができます。エネルギーシステムのエクセルギーフローは,環境温度(standard reference temperature)に影響を受けます。したがって,同じエネルギーシステムを気候の異なる地域に導入する場合,エクセルギーフローは地域によって異なる値を示すと考えられます。エネルギーシステムのエクセルギーフローが地域毎に異なるのであれば,システムの設備構成と運用方法は導入する地域毎に最適解があるはずです。そこで本研究では,住宅用燃料電池コジェネレーションを例として,環境温度の異なる場合のエクセルギーフローおよびエクセルギー効率を調査して,システムの地域特性を比較調査しました。システムのエクセルギー効率を改善する方法は,エネルギー効率を改善する方法と必ずしも一致しないと考えられます。これまでにも,燃料電池,コジェネレーション,複合発電システムなどのパワーシステムのエクセルギーが調査されています。しかしながら,環境温度の違いによるシステムのエネルギー効率とエクセルギー効率を比較調査した例は見当たりません。
本研究の解析に用いる燃料電池システムは,都市ガス改質器を伴う固体高分子膜形燃料電池(PEM-FC)です。このシステムの環境温度と「エネルギー効率およびエクセルギー効率」の関係を解析によって調査しました。セルスタックと改質器の効率は,負荷量に依存するモデルを導入しました。さらに,札幌,東京,鹿児島の外気温度を環境温度に設定するときの,エネルギー効率およびエクセルギー効率の特徴を調査しました。これらの結果から,PEM-FCコジェネレーションの地域特性について明らかにしました。

 

 

 

 


Copyright

Dr. Shin'ya OBARA, Power Eng. Lab., Department of Electrical and Electronic Engineering, Kitami Institute of Technology, obara@mail.kitami-it.ac.jp (@を小文字にしてください)